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① 長野SDGsプロジェクト 第4回ジャパンSDGsアワード SDGsパートナーシップ賞(特別賞)受賞

誰一人取り残さない:先生たちのネットワークの強化と個性を大事にした本質的なSDGs教育の実現

亀田
亀田

ここからは、「誰一人取り残さない」のキーワードの下、トレードオフについてお話を進めていきたいと思います。

早速ですが、長野SDGsプロジェクトさんでは、どんな課題を解決しているのか教えてもらっても良いでしょうか?

小林さん
小林さん

一番は、本当に全ての子どもたちに授業を受けてもらいたいという想いがあるので、特別支援学校の生徒さん達にも受けてもらえるような授業や企画を用意しています。

そして、通信制や定時制に通われている生徒さんにも参加して欲しいので、1回5~6名の授業も実施しています。後は、なかなか学校に行けないお子さんもいるので、その子どもたちも何かできるようにと当初から無料で使用できる教材をWEBサイトからダウンロードできるようにしています。

次に先生方のつがながりですね。これは、SDGs教育を推進していきたい同じ志を持った人同士を繋げるネットワークづくりをやっていきたいという想いから始まっています。

この活動も最初から上手くいっていたわけでなく、ネットワークを作っていくためには、SDGsに興味のある人を1本釣りしていくしかない状態だったので、興味のありそうな人を少しづつ集めていきました。

ただし、先生は転勤があるので、前の学校と今の学校で差が出てきてしまい、SDGs教育を一貫して行えないという課題もあります。その学校の方針というのは、校長先生によって決まってしまうので、校長会が大きな意思決定権を持っています。

そういう意味でも、先生同士のつながりは大事で、どんな学校に行ってもSDGs教育を実施したい人が相談したり、頼ったりできるネットワークが必要なんです。

先生向け SDGs教育セミナー

教材ダウンロードページ:https://www.naganosdgs.jp/materials_list

公開講座:https://www.naganosdgs.jp/learn/open_lecture

小林さん
小林さん

ただ、最近だと、自分たちの学校だけでSDGsの取り組みを完結させるのではなく、学校同士も結びつけて連携した取り組みをやってみたいという声が上がってきました。

SDGsに取り組みたい先生というところに焦点を当てて、ネットワークの強化を推進したことが、ムーブメントを起こすことにつながったのではないかと感じています。

亀田
亀田

とても良いムーブメントですね。

学校単位ではなく、先生個人単位でサポートを行なった結果、学校同士の結びつき、より大きなインパクトを与えていくような仕組みが生まれているような気がします。

亀田
亀田

学校教育では、1対多で教育をしていくので、1人1人の個性や、やりたいことを尊重して授業していくことは難しいと思うのですが、そこにはどうやって対応していますか?

小林さん
小林さん

1つの企画として、イノベーションフロムティーンエイジャーという企画があります。これはどんな企画かというと、若者が企業とか自治体に対して「これはどうなの?」と、不満を提言をしてもらうものなんですけど。笑

これを募集してみて分かったのは、思ったよりも応募が集まって「やばい、若者たち怒ってるぞ」ってことがわかりました…。この企画では、何個か提言をピックアップして、最終的に発表してもらったんですけど、その選んだ子の中に不登校の方がいたらしくて…。

もちろんたまたま不登校の子が入っていたというだけなんですけど、その子がこれに選ばれた途端めちゃくちゃ張り切って学校に来て発表準備をし始めたという話を聞きました。

とても嬉しくて、まさにこの企画というのは、SDGsの誰一人取り残さないということを体現できるようなものになったんじゃないかと思っています。

10代の若者が企業とか自治体に対して「大人の皆さん、もっとこんなことをしたらどうですか」と提案・提言をしてもらうものなんですが、これを募集してみて分かったのは、思ったよりも応募が集まって「やばい、若者たちが今の社会に不満を持っているぞ」ってことが分かりました。

亀田
亀田

これもまた素晴らしい取り組みですね。

誰一人取り残さないというのは、今の社会システムだと、抑圧されてしまっている人も輝ける、個性を発揮できるような教育を実践していくということなんだなと思いました。

小林さん
小林さん

もう1つポイントは、この企画は個人だけでも申し込むことができるものなんです。

学校単位や、学校を通しての申し込みが必要な企画も多いですが、誰一人取り残さない教育を実現する上で個人単位で申し込めるような企画を増やしていくことも重要だと思っています。

亀田
亀田

なるほど。確かに、学校という枠組み以外でも、誰もが障害を感じずに参加できるようなSDGsの取り組みを増やしていきたいですね。

ちょっと話は変わるんですけど、SDGs教育では、行動変容が大事という話を最初の方でしたと思うんですけど、そこに対する課題感はありますか?

小林さん
小林さん

グリーンウォッシュって一時期問題になりましたよね?SDGsを流行りにしていない!?SDGsウォッシュになっていない!?っていうのはとても感じます。

SDGsというのは学校において学習すべき科目でもあるけど、それ以上に本気で達成しないとやばい目標なんだよ?っていうことを伝えたいので、企業が1発大きな取り組みをしても、みんなの行動に変革が起きないと社会は変わらないと思っています。 そういう意味でも、個人個人の行動変容や、SDGsを本当の意味で理解して自分で考えることが大事です。

亀田
亀田

企業による大きな取り組みと個人からできる小さな取り組みのどちらも大切ですよね。

個人が意識変革し、行動変容していくことは、結局、自社にどうSDGsを取り込んでいくのか、どう事業と結びつけるのか、という本質的なところにつながっていきそうです。

古川さん
古川さん

こういう活動をやっていると、SDGsの勉強してますっていう人とよく出会うんですけど、本質じゃないなって思っちゃいますよね。

SDGsはそれぞれの目標に対して何をやっているかが大切で、勉強しているだけじゃ何も変わらないです。

小林さん
小林さん

いますぐに何か新しいことに取り組むことは難しいと思いますが、今やっている取り組みをSDGsと結びつけて改善しながら継続していくことが大事だと思っています。

まずは、ごみの分別や、ご飯を大切にするとか、そういう個人でできる当たり前のところからやっていくということを大事にしてほしい!!

亀田
亀田

そうですね…。笑

SDGsの認知というのは進んできていて、皆やらなければいけないという風潮になっているのは良いことですが、一方でSDGsウォッシュという言葉を耳にすることも多くなってきました。また、SDGsを押しつけられて気疲れしてしまうような人も増えてきてますよね。

最初はSDGsを理解したり、自分たちの事業と結び付けたりすることは重要ですが、そこから既存事業をし、新しいSDGsビジネスを創出していくのかというところは、僕たちも企業向けの研修をするときには意識しています。

亀田
亀田

あとは、長野SDGsプロジェクトでも企業のSDGsの取り組みをまとめているので、そういったロールモデルを発信していくことも1つの手段ですね。

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