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③ 「九州力作野菜・果物プロジェクト共同体」 (代表 イオン九州株式会社) 第3回ジャパンSDGsアワード副本部長(内閣官房長官)賞 受賞

誰一人取り残さない:日本の食を守るなら循環型の取り組みで肥料の自給率を上げることが重要

亀田
亀田

それでは、次のテーマのトレードオフに進んでいきたいと思います。トレードオフというのは、何かを解決するときに何かを犠牲にしてしまっている状況のことを言うのですが、九州力作野菜・果物プロジェクトに取り組んでいる上で、新たに直面している課題や、それをどう乗り越えてきたのかということについて教えていただきたいです!

福山さん
福山さん

直面の課題として、生産者さんにGAPに取り組む事をお願いしています。(今後監査していく) GAPは、農産物を生産する工程管理で、安心・安全・環境・労働安全・人権保護の項目に対してきっちり実施しているかどうか?それぞれの要求事項があります。例えば、農薬の管理だとか、農薬の袋を捨てる場所だとか、余った農薬や水は畑じゃなくてちゃんとしたところに捨てなさいとかね、いろんな要求事項があるんです。 GAPの詳しい説明はこちら 「農林水産省 GAPとは何ですか?」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1912/01.html

福山さん
福山さん

あとは、畑の周りに、工場がある場合、地下水は安全かどうなのか?水質検査の要求事項もGAPにはあります。つまりGAPをする事で生産の効率化が図れること(農業を強くすること)、また、SDGsの取り組みにも貢献していることになります。

亀田
亀田

農業に取り組むことによって、発生する課題に関しては、そういった枠組みや、規格を作り、それを農業に取り組む人が守っていく必要があるということですね。

福山さん
福山さん

あと1つは、力作野菜のようにブランド化をして、相場に負けない野菜を作るという気持ちを持った農家の方を増やしていくことが大事ですよね。

福山さん
福山さん

今のままで止まってしまうと、11億円という売り上げで終わってしまうので、「多くの店舗数を持っている私たちイオングループが、僕たちが本当にこれをやりきらないと日本の農業は変わらない」ぐらいに思って取り組まないとやりきれないですよね。

亀田
亀田

それくらいの覚悟がないと、達成できないような大きな目標ですね。 何か新しい取り組み始める時には、結局、1人1人の覚悟が重要になってきますよね。

福山さん
福山さん

余談ですが、残念ながら実は 農業だけではなく、養殖魚の餌は、ほぼ海外からの輸入で成り立っています。

亀田
亀田

農業だけでなく、漁業も…。 あまり注目されていないけど、重要な観点ですね。 育てる過程で使う肥料や餌は依存状態にあるんということは、普通に生活していたら見えないポイントなので、とても勉強になります。

福山さん
福山さん

ありがとうございます。 日本で自給するのは難しいんじゃないかって思われたかもしれませんが、昔の例でいくと、江戸時代では、人糞等が堆肥の役割を担い、農産物の生産していました。

福山さん
福山さん

今は、化学肥料の輸入は、8割~9割あると思いますが、それをやはり国産に変えていかないといけない。 江戸時代みたいに人糞を農家の方に売るという商売も成り立ってるくらいなので、そういう循環型農業において重要だと言われているリンとか、カリウムとか、窒素というのを今から国内で循環させるというのが、今後、重要になってくるかなと思ってます。

亀田
亀田

まさに究極のサーキュラーエコノミーの考え方ですね。江戸時代は、鎖国で全てが循環していたと言われてましたよね。日本にも、「もったいない」を始めとする文化として継承されている部分もあるはずです。

福山さん
福山さん

実際、九州大学が主催で一部イオン九州が協力をして取り組んでいる事で、メタン発酵消化液をメタン発酵し、メタンガスを取ったあとに残った液肥から肥料成分を回収する事で堆肥など輸出依存を減らし国産化をすすめる事の実証実験に取り組んでいます。パソコンなどから、レアメタルを取り出す事と一緒です。そういうことを加速していかないといけないと考えています。

亀田
亀田

え!すごい! とてもおもしろい取り組みですね! まさに江戸時代にやってたことを今風に変えたようなアイデアです。笑

福山さん
福山さん

そうなんです。 あとは、国がみどりの食料システム戦略のなかで、環境的な側面で、化学肥料とか化学農薬を抑えていきましょう」というのは、政策的にはあるんですよ。 あんまり使うと土が悪くなったり環境に悪影響を与えたりするということもあるんですけど、それを推し進めているのは、実は、海外からの肥料に頼らず、少しでも自分たちで回すことができるようにという考えもあるんですよね。

福山さん
福山さん

そういう意味では、九州力作野菜もアミノ酸の残渣を使って、海外から輸出する化学肥料を少しでも抑えるという循環型のやり方が今から重要になってくることだと考えています。

亀田
亀田

なるほど、肥料の自給率を上げるという観点でも、九州力作野菜・果物プロジェクトの取り組みは、大切な役割と担っているということですね。 現在、日本では、肥料をどれくらい海外に依存している状態なんですか?

福山さん
福山さん

肥料の海外産の依存度は、80%~90%は、あると思います。今後いかに、海外の依存度を下げる事ができるのかがポイントですね。

亀田
亀田

そうですよね。笑 ただ、今後、世界が食糧危機や、水不足に陥った時に、肥料の自給率というのも、意識しなければいけないポイントということですね。

福山さん
福山さん

はい。 あと、実は、食品自給率っていうのは、人間が食べるものを変える事によって自動的に上がるので、ご飯・野菜・味噌とか食べておけば上がります。笑 ただ、僕たちはパンとか肉とか、いろいろ食べたいっていうことになると、自給率がだんだん下がってくるので、自給率が今後どうなっていくのかというのは、ちょっと分かりません。笑 逆に言うと、日本人の食生活や、価値観が変容していけば、食料自給率は激的に上げることができると思います。

亀田
亀田

そうですね…。 人間の食生活というのは、環境に大きなインパクトも与えますよね。 ただ、食生活で我慢をしすぎて、自分の健康や、幸せを失ってしまうとトレードオフになってしまうので、イノベーティブな解決策が必要にですし、大きなビジネスチャンスにもなりそうです。

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